今回は第二種電気工事士試験の技能試験の勉強方法を紹介します。
技能試験は、筆記試験に合格した後に実施される実技試験で、電気工事の現場で必要な実務スキルを評価するものです。この試験では、指定された材料を使い、配線作業を正確かつ迅速に行うことが求められます。
未経験者や初心者にとって、技能試験は最初は難しく感じるかもしれませんが、正しい準備と練習を行えば合格は十分可能です。本記事では、技能試験の勉強法について詳しく解説し、効率的に合格を目指す方法をご紹介します。
学科試験の勉強方法はこちらに掲載しています。
技能試験の概要を知ろう
技能試験では、「候補問題」として事前に公開される13種類の配線問題から1つが試験当日に出題されます。試験の主な流れは以下の通りです。
- 試験時間: 制限時間は40分。
- 試験内容: 指定された材料を使い、問題に示された配線作業を完成させる。
- 合格基準: 時間内に欠陥なく施工されていること。
事前に公開される候補問題に取り組むことで、出題内容をほぼ網羅できるため、これらの練習が試験準備の中心となります。
13種類の「候補問題」の中からどれが選ばれるかは、試験会場ごとにランダムです。
試験では、指定された部材を使い、制限時間内に正確な配線を行うことが求められます。ひとつのミス(欠陥)で不合格になってしまうのがシビアですが、事前に問題がわかっているので事前にしっかりと練習をしておけば大丈夫です。
必要な工具と材料を揃えよう
技能試験の練習には、実際に使用する工具や材料を準備する必要があります。工具は練習だけでなく、試験会場に持参する必要があるので必ず揃えなくてはいけません。
筆者が購入したのは、ホーザン(HOZAN) の電気工事士技能試験工具セットと技能試験 練習用部材(1回分)です。
第二種電気工事士の技能試験に特化したスターターセットになっているので、これだけあれば必要十分です。
付属の試験対策ハンドブックには、候補問題13種類の複線図の書き方と配線のポイントが記載されており、こちらも重宝しました。
練習用部材は1回分でも配線の使い回しなどすれば2回ほどは練習できます。まずは1回分の部材で練習してみて、もう少し練習したければ配線やリングスリーブなどの使い捨て部材だけホームセンターなどで追加で購入するのが良いいと思います。
手袋の必要性
作業は素手でもできますが、筆者は左手のみ手袋着用していました。
芯線被覆を外す時に左手でストリッパーを押すのですが、何度もしていると指先が痛くなります。また、ケーブルを左手で押さえてストリッパーで切断するので、左手を保護していると安心感もあります。
逆に右手はネジをつかんだり、細やかな作業をする時に手袋だと器用にできないと感じたので素手でしていました。
技能試験の勉強法とスケジュール
筆者が技能試験の勉強と練習に取り組んだのは学科試験の合格後からです。
技能試験本番までに平均1日1.5時間で30日分、つまり約45時間ほどの勉強・練習量で合格できました。
30日のおおまかなスケジュールは下記の通りです。
- 13種類の候補問題を理解しよう(1日)
- 複線図をマスターしよう(4日)
- 1周目の施工練習をしよう(2週間)
- 2周目の施工練習をしよう(1週間)
- 苦手な施工を集中練習しよう(〜試験直前)
13種類の候補問題を理解しよう(1日)
技能試験の候補問題は、試験の公式サイトや試験対策ハンドブックに掲載されています。まずは13種類の候補問題がどのようなパターンなのかをざっくり理解しておきましょう。
複線図をマスターしよう(4日)
技能試験では出題された単線図から複線図を書き起こして施工作業を行います。
そのため複線図がしっかり書けないと正確な施工作業ができません。テキストで複線図の書き方をおさらいし、13種類の候補問題の単線図からひとつずつ複線図を書いてみましょう。
多くの方がここで複線図の書き方がわからずつまづくと思います(筆者もそうでした)。その際は、ホーザン株式会社のYoutube過去問解説動画がわかりやすくおすすめです。
この期間での目標は、
- 正確に13種類の複線図を書けるようになる
- 複線図を4分程度で書けるようになる
です。
正確に複線図が書けるようになったら、次はいかに早く書けるようになるかがポイントです。試験時間40分は意外と短く、複線図は4分程度でかけるようになることが望ましいと思います。
初めは時間がかかると思いますが、何度も練習して慣れると4分程度で書けるようになると思います。
ちなみにYoutube動画では複線図と補足書き込みを3色で使い分けしていますが、筆者は鉛筆と赤ペンの2色で使い分けしていました。1色だと見づらくなるので2色以上で書くのがオススメです。
1周目の施工練習をしよう(2週間)
初めは工具の使い方や配線の仕方もわからないと思いますので、ホーザン株式会社のYoutube過去問解説動画を見ることをオススメします。(ちなみに筆者は1.5倍速でYoutube視聴していました)
候補問題1つのYoutube動画を見る → 実際に施工してみる、を13問繰り返しましょう。
1周目は時間を気にせず施工してみましょう。工具の扱い方に慣れていないうちは、急いでも1問1時間程度かかると思います。
しかし、13問解き終わる頃には工具の扱いにも慣れるので、40分程度で解けるようになっているはずです。
2周目の施工練習をしよう(1週間)
2周目は時間を計って40分以内に欠陥なく施工できることを目指してみましょう。この時、2周目にミスした問題はチェックしておき、直前の復習で見直せるようにしておきます。
1回分の部材で練習している人は、1回目の施工で使用した配線の末端を切断して再利用しましょう。配線長さが指定の長さ取れなくなりますが、施工・結線の練習として気にしなくてOKです。
ちなみに筆者は、2周目の練習では最後のリングスリーブ圧着工程は省略していました。リングスリーブの数が不足したのと、13問の中で何度も繰り返し練習しているのでこれ以上練習不要と感じたためです。
リングスリーブ圧着なしで30分で施工完成できるようになれば、時間配分としては十分だと思います。
苦手な施工を集中練習しよう(〜試験直前)
試験直前期は、2周目でミスした施工や苦手な施工を繰り返し練習しましょう。
コツを忘れないように、単線図→複線図の書き取り反復練習もしておきましょう。
技能試験当日の参考情報
試験当日の様子が気になる人も多いと思うので、参考情報を記載します。
当日の流れと注意点はこちらの記事で詳しく記載しているので参考にしてください。
会場の様子
筆者の技能試験受験会場は都内の大学で、300人くらい入るキャンパスルームの一室でした。体感で2%くらいは当日欠席していたと思います。受験生は99%が男性で、年齢層は20−50代までと幅広い印象でした。
試験前には段ボールに入った部材一式が配られ、開始前に10分間の確認時間が与えられます。この段階でどの候補問題かが分かります。(ちなみに筆者はNo11でした)
作業スペースはキャンパス机に作業板が配布されるのですが、かなり狭いスペースだと思っておいたほうがよいです(A2よりやや小さいサイズです)。部材が散らからないように、段ボールに入れたままにしておき、ひとつずつ取り出して消費していきました。
複線図は問題用紙の空きスペースが十分あるのでそこに書きましょう(ちなみに、作業板に書いてもOKだと会場でアナウンスがあります)
布尺とゴミ袋は固定した方が作業しやすい
布尺(メジャー)は固定せず作業しましたが、何度か下に落としたので試験開始後にサッと固定した方が良さそうです。また、作業台が狭いので、芯線被覆を外したゴミなどをまとめるゴミ袋も作業台に固定した方が使い勝手がよいでしょう。ちなみに、試験開始までに布尺やゴミ袋をテープで固定することは禁止されているので、試験開始直後に作業する必要があります。
追加でもらえる備品
ランプレセプタクルのネジ、リングスリーブ、差込型コネクタは足りなければ追加でもらうことができます(会場でアナウンスがあります)
電線を切り損じでも大丈夫
本番で電線を間違えて切りすぎてしまったらリカバリできないのか?
安心してください。電線長さは施工条件の長短50%までは許容範囲です。
実は、筆者は試験本番で白単線を間違えて100mmも被覆を剥いてしまいました(本来は10mmなので明らかに剥きすぎです)
当然、施工条件の電線長さに足りなくなってしまい、試験中に愕然としたのを覚えています(この時は電線長さの許容範囲について知りませんでした)
結局、電線が施工条件より10cmほど短くなりましたが、なんとか完成させることができ、その後問題なく合格できていました。
こうしてみると、電線の長さはそこまで施工条件通り正確に切る必要はないことがわかります。多少の誤差は問題ないので、長さを正確に測ることに時間をかけすぎないように注意しましょう。
まとめ
電気工事士二種の技能試験は、事前に候補問題が公開されているため、十分な準備を行えば高い確率で合格できます。この記事で紹介した勉強法や練習方法を参考に、試験に向けて効率よく対策を進めましょう。
資格取得に向けた努力は、将来のキャリアに大きな価値をもたらします。焦らずコツコツと練習を続けてください!