電気工事士は、私たちの生活や産業を支える電気設備の設置や点検、修理を行う専門職です。電気が使われる場所がある限り、そのスキルは常に求められます。さらに、再生可能エネルギーやIoT技術の発展により、新たな分野での活躍も期待されています。
この記事では、電気工事士になるための資格やステップ、具体的な仕事内容、そして将来性について詳しく解説します。
電気工事士とは?
電気工事士は、電気設備を扱う国家資格で、主に建物や設備に電気を供給するための工事を行います。この資格を取得することで、一般住宅や商業施設、工場など、幅広い現場で働けるようになります。
電気工事士の主な仕事は、電気設備に関する設置・点検・修理を行うことです。作業は主に「低圧(600V以下)」と「高圧」に分けられ、扱う電圧によって必要な資格が異なります。
1. 一般的な電気設備工事
一般住宅や小規模店舗での低圧(600V以下)の電気設備工事は、第二種電気工事士の資格で対応可能です。具体的な業務内容は以下の通りです。
- 照明やコンセントの設置
- エアコンやIHクッキングヒーターなどの家電設置
- 配線や配電盤の修理
- 電気トラブルの対応
2. 商業施設・工場での設備工事
商業施設や工場などの大規模な電気設備を扱う場合は、第一種電気工事士の資格が必要です。仕事内容は以下のようになります。
- 高圧電源設備の設置・保守
- 工場内の生産ラインの電気設備の設置・点検
- 大型施設の配電盤や変電設備の保守管理
3. 特殊な電気工事
場合によっては、特殊なスキルや資格が求められる工事もあります。
- 再生可能エネルギー設備: 太陽光パネルや風力発電設備の設置
- 防災関連設備: 消防用設備や防犯カメラの設置
- 情報通信設備: LAN配線やネットワーク設備の設置
電気工事士の資格種類
電気工事士の施工資格には、第二種電気工事士・第一種電気工事士の2つがあります。第一種の方が電気工事できる範囲が広く、第二種の上位資格になります。
- 第二種電気工事士
一般住宅や小規模店舗での低圧(600V以下)の電気設備工事が可能。受験資格はなく、電気工事士としてのキャリアの第一歩に最適です。 - 第一種電気工事士
第二種に加えて、大規模施設や工場の高圧電気設備の工事も行える資格。第一種の免許取得には試験合格に加えて3年間の電気工事実務経験が必要になります。
電気工事士になるための資格取得
電気工事士になるためには、一般財団法人 電気技術者試験センターが実施する第二種電気工事士試験に合格する必要があります。試験合格後、免許申請をして免許証を取得することで晴れて電気工事士を名乗れます。
1. 第二種電気工事士の試験概要
第二種電気工事士試験は、大きく分けて「学科試験」と「技能試験」の2つから構成されています。学科試験では電気に関する基礎知識や法規について問われ、技能試験では実際の配線や接続作業を行います。試験を突破するためには、それぞれの試験の特性に応じた勉強が必要です。
学科試験の合格率は60%程度、技能試験の合格率は70%程度です。
- 学科試験
電気の基礎理論や配線図、電気機器の知識が問われます。すべて4択のマークシート形式で50問出題され、100点満点中60点以上で合格です。高校や大学で物理を専攻していると有利ですが、未経験でもしっかり取り組めば大丈夫です。 - 技能試験
技能試験では、事前に公開されている13問の「候補問題」の中から試験会場ごとにランダムで一つが出題されます。試験では、指定された部材を使い、制限時間内に正確な配線を行うことが求められます。ひとつのミス(欠陥)で不合格になってしまうのがシビアですが、事前に問題がわかっているのでしっかりと練習をしておけば大丈夫です。
試験日程
第二種電気工事士の資格試験は年2回あります。詳細日程は電気技術者試験センターのWebサイトを参照してください。
申込受付期間 | 学科試験(CBT方式) | 技能試験 | 合格発表 | |
上期試験 | 3月中旬~4月初旬 | 4月末~5月初旬 | 7月中旬 | 8月中旬 |
下期試験 | 8月中旬~9月初旬 | 9月末~10月初旬 | 12月中旬 | 1月中旬 |
資格取得にかかる費用
第二種電気工事士の資格受験費用は、インターネット申し込みの場合は9,300円(非課税)です。ただし、テキストや技能試験の工具・練習部材、免許申請には別途費用がかかり、資格取得までに約5万円程度はかかると見ておいた方が良いでしょう。
勉強方法とスケジュール
国家資格の中ではそこまで難しい部類でなく、未経験の方でも学科試験1−2ヶ月、技能試験1ヶ月程度勉強すれば十分合格圏内に入れます。
筆者はほぼゼロ知識から1ヶ月毎日1時間ほど勉強して約30時間程度、正答数34問/50問で学科試験を合格できました。
こちらの記事も参考にしていただければと思います。
電気工事士の仕事内容
電気工事士の主な仕事は、電気設備に関する設置・点検・修理を行うことです。作業は主に「低圧(600V以下)」と「高圧」に分けられ、扱う電圧によって必要な資格が異なります。
1. 一般的な電気設備工事
一般住宅や小規模店舗での低圧(600V以下)の電気設備工事は、第二種電気工事士の資格で対応可能です。具体的な業務内容は以下の通りです:
- 照明やコンセントの設置
- エアコンやIHクッキングヒーターなどの家電設置
- 配線や配電盤の修理
- 電気トラブルの対応
2. 商業施設・工場での設備工事
商業施設や工場などの大規模な電気設備を扱う場合は、第一種電気工事士の資格が必要です。仕事内容は以下のようになります:
- 高圧電源設備の設置・保守
- 工場内の生産ラインの電気設備の設置・点検
- 大型施設の配電盤や変電設備の保守管理
3. 特殊な電気工事
場合によっては、特殊なスキルや資格が求められる工事もあります。
- 再生可能エネルギー設備: 太陽光パネルや風力発電設備の設置
- 防災関連設備: 消防用設備や防犯カメラの設置
- 情報通信設備: LAN配線やネットワーク設備の設置
電気工事士の就職先とは?
電気工事士は、以下のような場所で働くことが一般的です。
電気工事会社
電気工事士の主な就職先は電気設備会社で、住宅の電気配線やコンセントの設置、工場などの大型施設のメンテナンスなど、幅広い電気工事を行います。業務内容は受注案件に応じた工事対応のほか、施設を巡回して保安業務を行うことや、緊急の修理や点検依頼に対応することも含まれます。
これらの業務は電気工事士としてスキルを活かせる典型的な働き方であり、電気工事士として幅広い経験を積むことができます。
建設会社
建設会社も電気工事士の有力な就職先です。現代では、電気設備が設置されていない建物はほとんどなく、建設工事は電気工事とセットで進行します。建設会社に就職した電気工事士は、建設中の建物に電気配線やコンセント、照明、空調設備などを設置することが主な業務です。
また、建設会社が完成後の建物の管理やメンテナンスを行う場合、電気設備の保安や点検も電気工事士が担当します。これには、売却前の建物の維持管理なども含まれ、幅広い業務に携わる機会があります。
ビル管理会社
ビル管理会社は、オフィスビルやマンション、ホテルなどの管理業務を行い、建物内の電気設備の修理や点検を担当します。電気工事士は、担当物件を巡回したり常駐したりして、日常的なメンテナンスを実施します。
ただし、電気工事だけでなく他の設備保安業務も求められるため、ビル管理士やボイラー技士、危険物取扱者などの資格を取得しておくと、就職やキャリア形成に有利です。
自営業として独立
電気工事士として経験を積んだ後は、自営業として独立することも選択肢です。独立して働く場合、自身で案件を受注し、工事の計画から実施、顧客対応までを一貫して行います。自由度が高く、働く時間や仕事量を自分で調整できるのが特徴です。
ただし、技術だけでなく経営スキルも必要で、営業活動や経理業務、法律や規制への対応が求められます。また、安定した収入を確保するには顧客との信頼構築やリピーター獲得が重要です。
地域密着型のサービスや専門分野への特化が、成功するためのポイントとなります。
収入を確保するには顧客との信頼構築やリピーター獲得が重要です。地域密着型のサービスや専門分野への特化が、成功するためのポイントとなります。
電気工事士のキャリアパス
電気工事士は、経験や資格を積むことでキャリアの幅が広がります。以下に、代表的なキャリアパスを解説します。
1. 電気工事現場での経験を積む
電気工事会社や建設会社に就職し、現場での実務経験を積みます。無資格で就職できる会社もありますが、電気工事士としてキャリアを積むために第二種電気工事士の資格は早い段階で取得しましょう。
最初は配線やコンセントの設置など基本的な作業を担当し、徐々により複雑な業務に携わるようになります。
スキルアップのポイント
- 配線図を読む力
- 工具や機器の扱い方の習得
- チームでの作業能力
2. 第一種電気工事士資格を取得
第二種電気工事士として一定の経験を積んだら、第一種電気工事士資格に挑戦するのが一般的なキャリアステップです。
3年間の電気工事の実務経験がなければ、第一種電気工事士の試験に合格しても免許を取得することはできません。この資格を取得すれば、より大規模な電気設備を扱えるようになります。
メリット
- 大規模施設や工場の電気工事に携われる
- 高収入の案件に対応可能
- キャリアの選択肢が広がる
3. 専門分野でのスキル・資格の取得
さらなるスキルアップを目指す人は、電験三種、電気工事施工管理技士などの電気工事の管理・監督する国家資格の取得を目指しましょう。難易度は第一種電気工事士よりも難しいですが、それに見合う資格取得メリットがあります。
また、近年は再生可能エネルギーやIoT関連など、特定の分野に特化したキャリアも注目されています。これらの分野は今後も需要が高まることが予想されるため、もし工事機会があれば積極的に手をあげて業務経験を積むとよいでしょう。
4. 管理職や大手電気会社へのステップアップ
経験を積んだ電気工事士は管理職にキャリアアップすることで、さらに収入アップが見込めます。ただ、管理職になれるかは勤めている会社の状況にもよります。
もし勤務先でのキャリアアップが難しい場合、大手電気会社に転職することで収入アップを目指すことも選択肢です。電気工事士はどこも人手不足の状態にあり、経験を積んだ電気工事士は重宝される傾向にあります。
5. 自営業として独立起業
電気工事士としての経験と人脈を活かし、自営業として独立するのも一つの道です。地域密着型の電気工事業者として活躍を目指します。
安定した顧客を獲得することは困難ですが、軌道に乗れば就職するよりも収入アップが見込めます。何より自由度が高く、働く時間や仕事量を自分で調整できるのは自営業の大きなメリットです。
独立する場合は、電気工事士ととしてのスキルだけでなく、営業や経理など幅広い業務遂行能力が必要となるので注意しましょう。
独立のポイント
- 工事案件の確保と顧客対応力
- ビジネス管理能力(営業や経理)
- 最新技術や法律の知識のアップデート
電気工事士の収入と将来性
現在はバブル世代の電気工事士の退職が進んでおり、今後も電気工事士の不足が予想されています。電気工事士は専門資格が必要かつ安定した需要がある職業であり、その需要はさらに高まる見通しです。
さらに、再生可能エネルギーやIoTなどの新しい分野での活躍が期待され、業務の幅が広がるため、将来性は非常に高いと言えます。
電気工事士の平均年収は以下の通りです。
平均年収
- 第二種電気工事士: 約350万円〜500万円
- 第一種電気工事士: 約450万円〜650万円
日本の平均年収が約450万円であることを踏まえると、比較的高い水準にあると言えます。
さらに資格を取得したり、大手電気工事会社に就職することで、キャリアアップや収入増加も見込めます。
また、専門職としての特性を活かし自営業として独立すればさらに高収入を目指すことも可能です。
まとめ
電気工事士は、現代社会の電力需要を支える重要な職業です。資格取得後は、多様な現場でスキルを磨きながらキャリアアップを図ることができ、将来性も非常に高い職種です。
社会の電化が進む中、再生可能エネルギーやスマート技術の普及により、電気工事士の活躍の場はさらに広がっています。これから電気工事士を目指す方は、自分の理想のキャリアを描きながら、計画的に資格取得を進めていきましょう!