電気工事士は、建築物の電気設備や配線の設置・保守を担う重要な専門職であり、日本のインフラを支える存在です。しかし、近年、この職種における人材の推移や将来的な動向に関心が高まっています。
本記事では、電気工事士の人数の推移に焦点を当て、データに基づいて現状と課題、そして今後の展望について詳しく解説します。
電気工事士の需要と供給の現状
経済産業省の資料によれば、電気工事士の需要は今後も一定ある中で、高齢層の資格保持者が多く退職するために人材不足が懸念されています。
第二種電気工事士は2045年には想定需要に対して3,000人不足する見込み、第一種電気工事士に至っては2020年前半時点で2万人も不足すると想定されています。
出所:経済産業省「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について(H30)」
また、経済産業省の資料内では電気工事士の不足解消に向け、様々な対応策が検討されています。
実際、電気工事士の不足を補うため、第一種電気工事士の取得に必要な実務経験は2021年度から5年から3年に見直しされ、第一種電気工事士試験は2024年度から、これまでの年1回から年2回の実施に変更されています。
出所:経済産業省「電力安全小委員会のWG等における検討状況について(R2)」
このように、様々な対策がなされていますが、データから見ても電気工事士は今後も不足し続ける可能性が高く、電気工事士のニーズはますます高まると予想されます。
電気工事士の人材不足の原因
電気工事士の人材不足の主な原因として、資格保有者の高齢化と若年層の減少が挙げられます。
資格保有者の高齢化
現在の電気工事士の多くが中高年層であり、今後の大量退職が予想されます。
下記のデータは2015年時点のものですが、2024年の年齢に置き換えると資格保有者の大半が60歳以上を迎えることがわかります。
出所:経済産業省「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について(H30)」
若年層の減少
日本の年齢構成として若年層の母数自体が少なくなっていることに加えて、建設業全般に言えることですが、若年層の間で肉体労働や技術職への関心が低下していることが指摘されています。
多くの電気工事会社では、電気工事士の不足を補うために職場環境の改善や福利厚生を充実させて、若手人材が働きやすい環境づくりに積極的に取り組んでいます。
電気工事士の資格取得者数の推移
電気工事士の資格は、第一種と第二種に分類されます。
一般財団法人 電気技術者試験センターのデータによれば、第一種・第二種電気工事士試験の受験者数と合格者数は以下のように推移しています。
開催年度 | 第一種電気工事士 | 第二種電気工事士 | |||
技能試験 受験者数 | 合格者数 | 技能試験 受験者数 | 合格者数 | ||
2024年度 | 下期 | 16,783 | 10,397 | ー | ー |
上期 | 11,589 | 6,607 | 50,668 | 35,949 | |
2023年度 | 下期 | ー | ー | 45,790 | 31,499 |
上期 | 26,143 | 15,834 | 49,547 | 36,250 | |
2022年度 | 下期 | ー | ー | 44,101 | 31,117 |
上期 | 26,578 | 16,672 | 53,558 | 39,771 | |
2021年度 | 下期 | ー | ー | 51,833 | 36,843 |
上期 | 25,751 | 17,260 | 64,443 | 47,841 |
※第一種電気工事士試験は2024年度から年2回実施
受験者数や合格者数は年度によって変動があるものの、第一種は約1.5〜1.7万人、第二種は約7〜8万人の合格者数の水準で維持していることがわかります。
電気工事士の人材不足への対策
電気工事士の人材不足を解消するために、今後、電気工事会社がどのような対策をしていくのか考察してみます。
電気工事士の賃金上昇
電気工事士の需要と供給がバランスしなくなれば、必然的に電気工事士の取り合いになるため賃金上昇が起こります。
現在、電気工事士に限らず多くの企業で若年層の獲得に向け賃金上昇が行われていますが、電気工事業界でもその傾向は顕著に続くと予想されます。
電気工事業務のDX化
建設業界や電気工事業界の全体傾向として、他の業界に比べてDX(デジタルトランスフォーメーション)は遅れていると言われています。
工程管理や見積作業などをDXによって効率化している企業もありますが、まだ多くの企業では従来のアナログ管理が中心となっています。
電気工事会社がDX化を進めることで、人手をかけていた業務を効率化し、本分としての電気工事に集中することができると予想されます。
まとめ
電気工事士は、日本の電力インフラを支える重要な職種であり、その人数の推移や将来的な需要動向は、社会全体に大きな影響を与えます。
資格取得者数は一定の水準を維持しているものの、電気工事士不足は今後も続くため、電気工事士の需要はますます高くなると予想されます。
電気工事士は手に職を持つことで安定し、将来的な独立や高収入も夢ではありません。電気工事士の未来は明るいので、ぜひ一歩を踏み出してみましょう!